調剤薬局事務を辞めたい人へ。仕事がつらい理由と解決策
調剤薬局事務を辞めたい人へ。仕事がつらい理由と解決策
調剤薬局は、病院やクリニックで処方された薬を調剤している場所です。
調剤薬局の数は、コンビニよりも多く、2019年度には6万件以上となり、増え続けています。
■国内の薬局数の推移
年度 | 2012年度 | 2013年度 | 2014年度 | 2015年度 | 2016年度 | 2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 |
薬局数 | 55,797 | 57,071 | 57,784 | 58,326 | 58,678 | 59,138 | 59,613 | 60,171 | 60,951 |
(単位:施設)
その薬局の窓口で受付や会計、レセプトの作成や確認などを行うのが、調剤薬局事務です。
調剤薬局事務の仕事は働きやすいイメージをもつ方もいますが、実際に働いている人のなかには辞めたいと考える人もいるでしょう。
仕事が大変、辛いと思う原因は、どのようなところにあるのでしょうか。
ここでは、調剤薬局事務の仕事が辛いと感じる理由と、その解決策についてご紹介していきます。
【目次】
■調剤薬局事務の仕事を辞めたい人に多い理由
調剤薬局事務で働く人が、仕事を辞めたいと考えるのはどういった理由からでしょうか。
調剤薬局事務の仕事を辞めたいと感じた理由について詳しくご紹介します。
-仕事内容の割りに給料が安い
調剤薬局事務は、未経験や無資格でもできる仕事です。
しかし、薬剤師のように高給与が見込める職種ではありません。
調剤薬局事務の仕事は、一見簡単な作業に思われがちです。
しかし、実際に働いてみると想像以上に業務が幅広く難しく感じることも多いようです。
調剤薬局は病院やクリニックから処方された薬を調剤するため、医療系の知識を必要とされます。
さらに、受付や会計業務だけでなくレセプト作成なども行なう必要があるため、保険や調剤報酬などの専門的な知識を覚えなくてはなりません。
また、薬の名前や種類を覚える必要もあります。
薬の種類は相当数ありますし、日常的に聞き慣れない言葉を覚えるのは楽ではありません。
無資格、未経験で働くことができるからと安易な気持ちで働いてしまうと、覚えることの多さに圧倒されてしまう人も多いのです。
-残業が多くてつらい
事務などの仕事は、日勤だけの仕事で定時に終わりやすく、育児中でも働きやすいイメージがあります。
しかし、調剤薬局の事務は残業が多いのが現状です。
病院やクリニックの処方箋を扱う調剤薬局は、病院の診察が終わるまで仕事が終わりません。
病院は季節的に混雑する時期がありますし、急患は診察時間外でも受け入れすることがあります。
そういったときは処方薬を調合し、患者さんに渡すまで薬局を閉めることができず、残業が発生しやすいのです。
また、事務職は土日休めるイメージがありますが、最近では土日に診察するクリニックが増えています。
平日以上に混雑することも多く、調剤薬局は対応に追われます。
とくに感染症が流行しやすい冬や大型連休前後は、最も残業が多くなり休みも取りづらい傾向があるようです。
-人間関係に苦しんでいる
調剤薬局事務で働く場合、薬剤師はもちろん病院の医師や看護師などとも関わることが多くあります。
国家資格をもつ医療従事者に比べて、調剤薬局事務は下の立場になりがちです。
そのため、医師や看護師や薬剤師からの言動が高圧的に感じてしまい、辛く感じることがあるようです。
また、患者さんのなかには性格が合わない人もいます。
病院の長い待ち時間でイライラして、さらに調剤薬局で待たされ、受付や会計をする事務に怒りをぶつけてくる人も少なくありません。
薬の数が違う、希望した薬じゃない、などと理不尽なことを言われることもあります。
調剤薬局事務は薬局の顔になりますから、高圧的な態度にも理不尽なクレームにも我慢して対応する必要があります。
医者や看護師、患者さんなどさまざまな人たちとの人間関係に苦しみ、辞めたいと考えてしまうのでしょう。
–環境的に体調をくずしやすい
調剤薬局は病気の人が薬をもらいに来るところです。
なかには、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかっている人もいます。
受付や会計をする調剤薬局事務は、患者さんと直接やり取りをしているため、感染症をもらいやすくなります。
マスクや予防接種、手洗い、うがいをしっかり行っていても、残業が多くストレスや疲労が多いですから、感染症にかかるリスクも高くなるでしょう。
多忙な時は、体調不良による欠勤で職場の人たちに嫌味を言われることもあり、肩身の狭い思いをすることもあります。
感染症は複数流行しますから、体調がよくなってもまた感染症にかかってしまうこともあります。
このような悪循環で体調を崩し続けると、精神的にもマイナス思考に陥りやすく辞めたいと考えてしまうようです。
■調剤薬局事務の辛さ・大変さを乗り越える解決方法
調剤薬局事務として働いている人のなかには、さまざまな辛さや大変さを抱えている人がいます。
辞めたいと考えることもあるようですが、これらの悩みをどのように乗り越えているかご紹介します。
-仕事内容のわりに給与が安くてつらいときの乗り越え方
調剤薬局事務の仕事は、覚えることが沢山あります。調剤報酬点数や薬機法、薬の名前、レセコンの使い方などです。
薬は成分ごとに特徴を把握していくと覚えやすくなります。
点数や算定ルールなど、ある程度は頭にいれておく必要がありますが、大事なことはメモして目につくところに貼っておくようにすると、ミスを防ぐことができるでしょう。
こんなに頑張っているのに給与が安いと感じることもあると思いますが、勤務年数が長くなれば昇給によって給与もアップしていきます。
実務経験が長くなれば責任のある立場になることもありますし、それに伴い昇給する可能性もあるでしょう。
また、調剤薬局事務に役立つ資格を取得することで、給与アップが可能な場合もあります。
登録販売者資格は、調剤薬局事務に2年以上従事し試験に合格することで取得可能です。
初は仕事内容のわりに給与が安いと思うかもしれませんが、経験を積み知識と実力を培いスキルを高めるために数年は頑張ってみましょう。
-残業が多くてつらいときの乗り越え方
調剤薬局事務の仕事は、残業が多くつらいと感じるものです。残業を最小限にするためには、仕事の全体像を把握することが大切です。
それによって時間配分を調整でき、効率よく仕事ができるようになります。
同じことの繰り返しが多い事務作業は、慣れることでスピードアップが可能です。
ミスがないように注意しながら、丁寧かつスピーディーに作業が行えるようにしましょう。
また、スタッフ間のコミュニケーション不足は、チームワークが乱れ仕事効率に影響します。
スタッフ間のコミュニケーションを大事にすることで仕事効率が上がり、残業を減らすことができるでしょう。
-人間関係で苦しんでいるときの乗り越え方
調剤薬局事務は、患者さんや医師、看護師、薬剤師との人間関係で苦しむことがあります。
人間関係がこじれるとクレームにつながることもありますし、業務が円滑に行われないと周囲のスタッフにも迷惑がかかります。
人間関係でうまくいかないときは、距離を取ることで解決できることも多いです。
性格が合わない、苦手と感じる患者さんの場合は、他のスタッフに対応をお願いしましょう。
高圧的な医師や看護師と連絡を取る場合は、薬剤師に依頼することでスムーズなやり取りができることもあります。
また、同じ職場内の人間関係で苦しんでいる場合は、上司に相談してシフトを調整してもらうことで軽減できるでしょう。
これらの方法で回避できない場合は、可能であれば店舗を異動させてもらうなどといった方法もあります。
しかし、人間関係はどこの職場でも起こりがちです。
相手が改心することを期待するよりも、自分が割り切って付き合うことも必要です。
自分を成長させ、人間関係の悪化を回避することを心がけてみるとよいでしょう。
-体調を崩しやすくてつらいときの乗り越え方
体調を崩さないようにするためには、感染予防に力を入れることが大切です。
調剤薬局事務は患者さんと会話をする機会が多いため、感染症の流行時は飛沫感染防止としてマスクの着用だけでなく、手指のアルコール消毒や、こまめな手洗いうがいを徹底することで、感染症から身を守ることが可能です。
調剤薬局の仕事は残業が多い時期もあり、疲れていると余計に病気にかかりやすくなってしまいます。
できるだけ疲れを残さないよう、栄養と休養を取ることを心がけましょう。
また、ストレスも免疫力を低下させる要因となります。
体調を崩しやすいときは、ストレスがないか振り返り、気分転換をしてみるのもおすすめです。
■それでも調剤薬局事務を辞めたいときに考えるべきこと
調剤薬局事務を辞めたくなる悩みや辛いこと、その解決策についてご紹介してきました。
しかし、それらの解決策をとっても辞めたい気持ちが変わらないときは、どうしたらよいのでしょうか。
後先を考えずに辞めてしまうと、後悔しかねません。
せっかく調剤薬局事務として積んだ経験を無駄にしないため、少し踏みとどまり慎重に考えてみましょう。
ここでは、それでも調剤薬局を辞めたいときに考えるべきことをご紹介します。
-転職でおすすめな職種はあるの?
調剤薬局事務が転職する際は、経験を活かして働ける職業がおすすめです。
調剤薬局で2年以上の実務経験を積んでいる場合は、登録販売者の試験を受けて登録販売者になることが可能になります。
給与アップもできますし、キャリアアップを考えている人にはおすすめです。
また、医療事務の仕事、レセプト業務や請求についての知識を活かすことができます。
調剤薬局での経験から薬品名に詳しく、即戦力として働ける可能性があることから、就職にも有利になるでしょう。
– 経験年数が1年未満の場合
調剤薬局事務として働いた期間が1年未満の場合は、すぐに辞めずにもう少し頑張ってみることを考えましょう。
知識や経験が未熟なうちは仕事に慣れず、辛いと思うこともたくさんあるものです。
しかし、勤務1年未満で辞めてしまうと、調剤薬局だけでなくほかの職種への転職も難しくなります。
新しい職場でもすぐに辞めてしまうかもしれないと思われ、採用に不利になってしまうからです。
とくに人間関係で辞めてしまうと転職活動に差し支えます。
1年以上勤務することによって経験者とみなしてもらえるため、転職時に優遇される可能性があります。
調剤薬局以外であっても、事務経験者としての経歴があれば未経験者よりも選択肢の幅が広がります。
また、辛い時期を乗り越えることで自信がつき、今の職場でもやっていけるかもしれないと考えが変わるかもしれません。
まずは1年以上勤務を続けてみましょう。
-勤続年数が1年以上の場合
調剤薬局事務の仕事を1年以上続けてきた場合は、将来的に自分がどうなっていたいかを考えてみましょう。
キャリアアップやスキルアップを望む場合は、転職前に資格の取得をおすすめします。
医師または薬剤師のもとで2年以上の実務経験がある場合、「登録販売者」の免許取得条件をクリアできます。
登録販売者の免許があれば、薬局だけではなくドラックストア、ホームセンターやコンビニエンスストア、家電量販店など幅広い働き先の中から、自分に合った職場を見つけることができるでしょう。
有資格者は採用されやすく、待遇の良い職場を選ぶことが可能です。
調剤薬局事務経験をもって転職する場合、医療事務や一般事務などでも働くことができますから、それらの職種で活用できる資格を取得するのもよいでしょう。
なお、転職する際にブランクができてしまうとデメリットになるため、転職先を決めてから辞めると安心です。
仕事をしながら転職先を探すことで、収入源がなくなる心配も回避できます。
■記事まとめ
ここでは、調剤薬局事務を辞めたい人に向けて、辛いと思う理由と解決策についてご紹介してきました。
調剤薬局事務は、仕事が楽なイメージをもたれがちですが、実際は業務内容が幅広く、残業も多い仕事です。
辞めたいと思ったときはすぐ退職してしまうのではなく、悩みを解決する方法を試してみてください。
それでもやはり辞めたいときは、資格を取得するなど転職にメリットのある方法を考えましょう。
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