医療事務の資格はどれがいい?医療機関への独自調査で判明した選び方

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医療事務の資格の特徴と選び方

医療事務は資格がなくても働ける仕事ですが、未経験の方の場合、「資格を取ったほうが就職に有利?」「どの資格を選べばいい?」「独学でも取れるの?」など迷われることが多いようです。

そこでこの記事では、医療機関への独自調査をもとに、採用時に資格がどのように評価されているのか、未経験者に求められる知識やスキルはどんなものかを紹介します。さらに、代表的な医療事務資格の違いや選び方、独学と講座受講の違い、資格取得の流れ、まで解説します。

そもそも医療事務に資格は必要?

医療事務として働くために、必ず取得しなければならない資格はありません。資格がなくても応募できる求人もあります。

一方、未経験者は実務経験者とは異なり、医療事務の知識やスキルがないため、資格取得が好意的に受け取られる傾向があるようです。実際に医療機関では、未経験者の資格取得についてどのように評価しているのでしょう。

医療機関80件の95.0%が未経験者の資格取得を「評価」

日本教育クリエイトでは、病院・クリニックの院長・事務長・採用担当者などを対象に、「病院・クリニックが求める医療事務スタッフ実態調査」を実施し、医療機関80件から回答を得ました。

「未経験者が医療事務資格を取得していることは評価につながりますか」と尋ねたところ、「とても評価する」が35件(43.8%)、「やや評価する」が41件(51.3%)で、合計76件、全体の95.0%が「評価する」という結果になりました。
今回の調査から、未経験者の資格取得を多くの医療機関が肯定的に評価していることが分かりました。

回答 件数 割合
とても評価する 35件 43.8%
やや評価する 41件 51.3%
あまり評価しない 3件 3.8%
全く評価しない 1件 1.3%
合計 80件 100.0%

・調査名:病院・クリニックが求める医療事務スタッフ実態調査・調査主体:株式会社日本教育クリエイト・調査期間:2026年9月2日〜2026年9月9日・調査方法:Webアンケート・調査対象:全国の病院・クリニックの院長、事務長、採用担当者など・有効回答数:80件

医療機関は未経験者に何を求めている?

同じ調査で、「未経験者を採用する際、入職前に身につけていてほしい基礎知識・スキルのうち、特に重視するもの」を尋ねました。

項目 回答数 回答者に占める割合
コミュニケーション力 58件 72.5%
患者対応・接遇力 57件 71.2%
PCスキル 38件 47.5%
医療保険制度の基礎知識 32件 40.0%
診療報酬の知識 28件 35.0%
受付業務の基礎知識 27件 33.8%
会計業務の基礎知識 7件 8.8%
その他 2件 2.5%

※複数回答のため、割合の合計は100%になりません。

特に重視されているのは「対人スキル」

最も多かったのは「コミュニケーション力」72.5%、次いで「患者対応・接遇力」71.2%でした。            
医療事務は、医師や看護師などの医療スタッフと情報を共有し、連携しながら仕事を進めるためのコミュニケーション力が必要です。

また、患者にとっては、分からないことや疑問を尋ねやすい身近な存在でもあります。
そのため、相手の話を正確に聞き取り、分かりやすく伝える力や、患者に安心感を与える丁寧な対応が求められているようです。

医療事務の「基礎知識・スキル」も求められている

一方で、「医療保険制度の基礎知識」40.0%、「診療報酬の知識」35.0%、「受付業務の基礎知識」33.8%など、医療事務に関する基礎知識を重視する回答も見られました。

未経験者の場合、入職後に実務を通して覚えていくことも多くありますが、医療保険制度や診療報酬などの基本的な知識があれば、業務への理解もスムーズです。当然、教える側にとっても新人教育が進めやすくなります。

こうした点から、入職前に医療事務の基礎知識を身につけておくことは、未経験者本人だけでなく、受け入れる医療機関にとってもメリットがあると考えられます。

医療事務資格を取得するメリット

未経験から医療事務を目指す場合、資格を取得しておくことには、次のようなメリットがあります。

医療事務の基礎知識・スキルの証明になる

今回の調査でも、未経験者の資格取得を95.0%の医療機関が「評価する」と回答しており、実務経験のない未経験者にとって、資格取得は医療事務の基礎知識やスキルを身につけていることを証明する一つの方法になります。

もちろん資格だけで採用が決まるわけではありませんが、未経験であっても医療事務について一定の理解があることは、採用する医療機関側にとっての安心材料にもなるでしょう。

医療事務として働く意欲を伝えられる

未経験から資格取得に向けて学習し、試験に合格した経験は、医療事務として働くために自ら準備してきたことや、その意欲をアピールすることにもつながります。

医療事務は、診療報酬の改定に合わせて、常に新しい情報をキャッチアップし、知識を更新していくことが求められる仕事です。資格取得は、入職後も継続して学んでいく姿勢を採用側に伝える材料にもなるでしょう

資格手当が支給される場合がある

医療機関によっては、資格手当が支給される場合があります。手当の有無や支給額は勤務先によって異なるため、求人票や採用条件を確認しておきましょう。

入職後の実務が理解しやすくなる

医療事務で必要となる知識やスキルは、勤務先の規模や配属される診療科などによっても異なります。そのため、勉強してきた内容が実務でそのまま通用するとは限りません。

しかし、事前に医療事務の基礎を勉強してきた人と、まったく知識がない状態から始める人とでは、先輩から教わる内容への理解のしやすさが異なります。新しい環境で緊張する中、事前に学んだ知識があることは、仕事を覚えていくうえで大きな助けになるでしょう。

代表的な医療事務資格を比較

ここでは、医療事務の資格取得を検討している方に向けて、代表的な3つの資格を紹介します。

いずれの試験にも、学科試験と実技試験があります。学科試験では医療保険制度や診療報酬などが問われ、基本的な内容は共通していますが、実技試験の内容には資格によって違いがあります。

また、今回紹介する3つの資格は、いずれも受験資格を問わず、自宅受験が可能です。

なお、医療事務の難関資格として知られていた「診療報酬請求事務能力認定試験」は、2025年12月の試験をもって終了しました。主催団体は、受験者数の減少に加え、医療DXなどによるデジタル化・効率化が進み、医療事務の仕事自体が変化していることを背景として挙げています。

早速、実技試験の内容と合格率を比較してみましょう。

資格名 実技試験 合格率
医療事務検定試験 診療内容から医療費を計算し、会計欄を作成 約90%
医療事務技能審査試験(メディカルクラーク®) 診療報酬明細書(レセプト)の作成・点検など 約70%
医科医療事務管理士技能認定試験 診療報酬明細書(レセプト)の作成・点検など 約70%

3つの資格では、実技試験で問われる内容に違いがあります。

医療事務検定試験で作成する「会計欄」は、診療内容から医療費を計算するためのもので、日々の会計業務につながる知識です。一方、その他の2資格で問われるレセプトの作成・点検は、毎月の診療報酬を請求するために月末・月初を中心に行われる業務で、実務では経験者が担当することが多い仕事です。

次に「合格基準」「受験料」は以下の通りです。

資格 合格基準 受験料
医療事務検定試験 問題の総得点の70%程度を基準として、問題の難易度で補正した点数以上 7,700円
(税込)
医療事務技能審査試験
(メディカルクラーク®)
学科・実技それぞれ70%以上 8,800円
(税込)
医科医療事務管理士技能認定試験 在宅試験:
学科約80%以上、実技は各問題約60%以上かつ3問合計約80%以上

インターネット受験:
学科・実技の総合計70%以上
7,500円
(税込)

それぞれの資格の特徴・違いは以下のようにまとめられます。

医療事務検定試験

日本医療事務協会が主催する資格です。受付・会計業務で必要な知識・スキルを中心に、医療保険制度や診療報酬などが審査されます。
実技試験では、診療内容から医療費を計算し、会計欄を作成します。

医療事務技能審査試験(メディカルクラーク®)

日本医療教育財団が主催する資格です。医療保険制度や診療報酬など、医療事務に関する知識が審査されます。
実技試験では、診療報酬明細書(レセプト)の作成のほか、外来会計の点検や病名との突合、患者接遇などが出題されます。

医科医療事務管理士技能認定試験

技能認定振興協会が主催する資格です。医療保険制度や診療報酬など、医療事務に関する知識が審査されます。
実技試験では、診療報酬明細書(レセプト)の点検に加え、外来・入院それぞれのレセプト作成が出題されます。

未経験者はどんな医療事務資格を選べばいい?

医療事務資格を選ぶ際は、試験で審査される内容を確認し、資格取得に向けた勉強を通して、どのような知識やスキルを身につけられるかを考えることが大切です。未経験者の場合は、就職後すぐに必要となる知識やスキルを効率よく身につけられるかという視点もポイントになります。

また、医療機関ではDX化が進み、医療事務の仕事内容も変化しています。こうした現在の医療現場の実情にも目を向けることが大切です。

医療DXで医療事務の仕事も変化している

医療機関では、電子カルテやレセプトコンピュータなどの導入が進み、診療報酬明細書(レセプト)についても電子化が進んでいます。現在は、手書きではなくシステムを利用した作成が一般的です。

そのため、医療事務資格を選ぶ際は、現在の医療現場で必要とされる知識やスキルを意識して選ぶことが大切です。

未経験者は受付・会計に配属されることが多い

未経験から医療事務として働く場合、まずは受付や会計などから経験を積むケースが多くあります。一方、レセプト点検などの業務では、実務経験が求められる求人が多く見られます。

受付では、保険証や各種公費などを正しく確認するための知識が必要。会計では、診療内容に応じて医療費を計算し、患者からの質問に分かりやすく答えるための知識が求められます。

そのため、未経験者はまず、医療保険制度と医療費計算の仕組みを理解しておくと安心です

レセプト業務は就職後のスキルアップで

医療事務として経験を積む中で、レセプト業務に携わる機会があるかもしれません。

ただし、実際に必要な知識は、勤務先の診療科や医療機関の規模によっても異なります。そのため、レセプトの知識や点検スキルは、就職後に実務経験を積みながら、勤務先に合わせて学ぶのが効率的です。

はじめて医療事務資格に挑戦するなら「医療事務検定試験」がおすすめ

ここまで見てきたように、未経験から医療事務を目指すなら、医療機関の実情に合わせ、就職後すぐに必要となる基礎知識をしっかり身につけておくのがよいでしょう。

この点から、はじめて資格に挑戦するなら「医療事務検定試験」がおすすめです。

医療事務検定試験では、医療保険制度や診療報酬に関する知識が審査され、実技試験では、診療内容から医療費を計算し、患者が受け取る診療明細書のもととなる会計欄を作成します。資格取得に向けて勉強する内容が、未経験者が最初に担当することの多い受付・会計業務の基礎につながっているのが特徴です。

また、合格率は例年約90%で、試験は毎月実施されています。自宅で受験できるため、慣れた環境で挑戦できることもメリットです。医療事務検定試験は、50年にわたり医療事務の人材育成に取り組んでいる日本医療事務協会が主催。長年の実績がある団体による資格だということも、安心ポイントです。

医療事務資格を取得するまでの5ステップ

医療事務の資格取得を検討し始めると、「独学でも取得できる?」「勉強期間はどのくらい?」など、何から始めればよいか迷う方も多いのではないでしょうか。
ここでは、資格選びから合格に向けた勉強方法、資格取得までの流れを5つのステップで紹介します。

STEP1 目指す資格を決める

医療事務にはいくつかの資格があるため、まずは目指す資格を決めましょう。資格を選ぶ際は、試験で審査される内容や合格率、受験方法、受験料などを比較します。

未経験者の場合は、合格に向けた勉強を通して、就職後すぐに必要となる知識やスキルを効率よく身につけられるかという視点で選ぶことも大切です。

STEP2 独学か講座受講か、勉強方法を決める

医療事務資格は、独学で取得を目指すこともできます。市販のテキストや問題集などを使って自分のペースで勉強できるため、できるだけ費用を抑えたい方や、自分で学習計画を立てて進められる方には独学が向いています。

一方、医療保険制度や診療報酬は、未経験の方には聞き慣れない専門用語が多くあります。分からないところを質問しながら勉強したい方や、試験範囲に沿って効率よく学習を進めたい方は、講座を受講するのも一つの方法です。

独学と講座受講には、それぞれ次のようなメリット・デメリットがあります。

独学
メリット ・費用を抑えやすい
・自分のペースで勉強できる
・好きな教材を選べる
デメリット ・自分で教材を選ぶ必要がある
・学習計画を自分で立てる必要がある
・分からないところを自分で調べる必要がある
講座受講
メリット ・試験範囲に沿って効率よく学べる
・分からないところを質問できる
・学習計画を立てやすい
デメリット ・独学より費用がかかる
・受講有効期間が決まっている

勉強方法は、ご自身の予算や勉強にかけられる時間、それぞれのメリット・デメリットを考慮して選びましょう。

STEP3 学習スケジュールを立てる

勉強方法が決まったら、自分に合った学習スケジュールを立てましょう。

「いつまでに試験を受ける」と目標を決め、そこから逆算して学習期間を考える方法もあれば、「1週間に○時間勉強する」と決め、自分のペースで学習を進める方法もあります。

講座を受講する場合は、標準学習期間がスケジュールを立てる際の目安になります。独学の場合は、教材選びや分からない部分を自分で調べる時間も必要になるため、標準学習期間よりも余裕をもって学習期間を設定するとよいでしょう。

ただし、1週間にどのくらい勉強時間を確保できるかによって、必要な学習期間は大きく異なります。仕事や家事などとの両立も考えて、無理なく続けられるスケジュールを立ててください。

STEP4 学科・実技の試験対策をする

医療事務資格の試験には、学科試験と実技試験があり、それぞれ対策方法が異なります。

学科試験対策では、まず医療保険制度の全体像をつかみ、初診料・再診料、注射、検査など、診療報酬の点数や算定方法を一つずつ理解していきます。そのうえで、問題集や過去問題を繰り返し解き、知識を定着させます。

実技試験対策では、理解した算定ルールをもとに問題演習に取り組みます。過去問題などを繰り返し解き、計算間違いなどのケアレスミスを減らし、正確に解答できるよう練習しておきましょう。

STEP5 試験に申し込んで受験する

学習が進み、受験の準備が整ったら試験に申し込みます。試験によって申込期間や申込方法が異なるため、主催団体の公式サイトで最新情報を確認し、余裕をもって手続きを済ませてください。

また、試験によって受験方法も異なります。受験前には、注意事項などを改めて確認しておきましょう。

試験に合格すれば、晴れて有資格者です。

医療機関からのメッセージ

今回の調査では、医療機関から医療事務を目指す方へのメッセージも寄せられました。回答の一部を紹介します。

病院窓口職員は、病院の顔でもあるので、病院の印象を左右する重要なポジションです。接遇をしっかり学んで、患者さんごとに思いやりを持った対応ができることが大切です。(病院/事務)

医療事務の仕事において最も大切なのは、正確で円滑なコミュニケーションです。未経験のうちは覚える事も多く不安になるかもしれませんが、まずは「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」を徹底しましょう。(病院/医事課主任)

未経験でも、知識や専門用語を少しずつ身に着けていけば大丈夫です(疑問等は積極的に質問する)。また、医療を支える仕事として、とてもやりがいのある職種だと思います。患者さまやそのご家族への思いやりを大切にすることも大事にしてほしいと思います。(病院/医事課長)

医療事務資格に関するよくある質問

医療事務は資格なしでも働けますか?

はい。医療事務は資格が必須の仕事ではなく、資格なし・未経験から応募できる求人もあります。一方、今回の調査では、未経験者の資格取得を95.0%の医療機関が「評価する」と回答しています。

どの医療事務資格が就職に有利ですか?

採用において「この資格なら有利」と一概にいえるものではありません。資格ごとに審査される知識・技能や受験方法が異なるため、試験内容や合格率、受験方法、費用などを比較して選びましょう。未経験者の場合は、就職後すぐに必要となる知識やスキルを効率よく身につけられるかという視点もポイントです。

医療事務資格は独学でも取得できますか?

はい。医療事務資格は、講座を受講せず独学で取得を目指すこともできます。独学と講座受講にはそれぞれメリットがあるため、費用、学習時間、サポートの必要性などから自分に合った方法を選びましょう。

資格を取ってから求人を探した方がいいですか?

資格取得前から求人情報を確認しておくのも一つの方法です。希望する勤務先で求められている経験やスキルを確認しておくと、資格選びや学習の目的も明確になります。

まとめ

医療事務は資格がなくても働ける仕事ですが、今回の医療機関80件への独自調査では、未経験者の資格取得を95.0%の医療機関が「評価する」と回答しました。

また、未経験者には、コミュニケーション力や患者対応・接遇力といった対人スキルに加え、医療保険制度や診療報酬の知識、受付・会計業務のスキルなども重視されています。

医療事務資格を選ぶ際は、試験で審査される内容や合格率、受験方法、費用などを比較しましょう。未経験者の場合は、就職後すぐに必要となる知識やスキルを効率よく身につけられるかという視点も、資格選びのポイントになります。

初めて医療事務資格に挑戦する方には、受付・会計業務につながる基礎知識・技能が審査される「医療事務検定試験」がおすすめです。

資格取得を目指しながら、実際の求人も確認し、自分に合った医療事務の仕事を探してください。

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